私はブランドのメンバーとして、またマネジメント側として経験を積んできました。メンバーだった頃、仕事は楽しくやりがいも感じていたのですが、ふと自分が何を目指しているのか分からなくなり不安に苛まれました。上司との関係がうまくいかず精神的に辛くなったこともあります。今振り返ると他者の評価に振り回され、自分自身に目を向けることができていなかったのだと思います。

新しい視点が欲しくてその後1年間ロンドンでブランディングを学びました。大学院での学びも貴重でしたが、何より周囲の人々が自分と全く異なる考え方を持っていることに衝撃を受けました。他人と違っていることが当たり前の環境で自由に生きることを体感し、それまで培ってきた「こうあるべき」という考えがいくつも崩れました。

帰国後は知人と一緒に会社を立ち上げ、マネジメント側に立ったことでいくつもの壁を感じることになります。その一つが指示通りに進まないこと。「わかりました」という返事を得ても出てきた結果は私の意図するものではない。なぜそれが起こるのだろうと分析する中で、相手が心から指示に納得していないと同時にそのことに本人すら気づいていないのではないかと思い当たりました。自分が本当に成し遂げたいこと、それを実現するために何をしたいのかを顧みず目の前の仕事をこなしていては、仕事に幸せを感じられずロイヤリティも育ちません。そもそもブランドが何を目指しているのかわからない、もしくは理念と指示がかけ離れていては本質的なブランディングができないことは言うまでもありません。

マネージャーの立場では上記を十分にケアすることは難しいと感じます。マネジメント側としては迅速かつ高いクオリティの成果を求めたくなりますし、他にもやるべきことが山積みです。この問題をサポートするサービスが欲しいと考え、BRAND COACHを立ち上げました。メンバーが主体的にブランド運営に取り組むための支援を必要とする経営者やマネジメント層と、本質的なブランディングに取り組んでいけることを願っています。